INTRODUCTION

「効果が期待できるAGA治療」はどうやって判断すべき?

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一般的なAGA(男性型脱毛症)治療の概念や内容について、自身の経験を基に研究した結果をご紹介します。「一般的に言われているAGAの原因」の記事でも前述した通り、AGAの発症する原因は全てが解明されているわけではありません。

一般的なAGA治療とは?

ちゃんとした病院やクリニックでも『本当に効くかどうか』は不明な治療を行っていることがあります。これ自体は何も悪いわけではなく、例えば海外で臨床実験中の『効くかもしれない』薬を重症患者さんのために輸入し、投薬することが許されています。一般的にAGA治療に用いられる薬や治療方法も経験のみに基づいているものが多いのが事実です
では「効果が期待できる対策」はどうやって判断すべきなのでしょうか?

EVIDENCE BASED MEDICINE(根拠に基づいた医療)

EVIDENCED BASED MEDICINE(EBM)とは『論文や学会など世界中の研究者がまとめた結果に基づく医療』といったところです。専門用語ですが、科学的・客観的に根拠がある度合いはエビデンスレベルと呼ばれます。

これは代表的なエビデンスレベルの分類をまとめた表です。レベル1が最も科学的根拠に優れた医療であり、1→6の順に根拠は乏しくなります。一般的に保険証が使える医療(保険診療)の大体はレベル1か2が中心です。一方でAGAの治療は美容整形と同じく「自由診療」に当たるので、基本的に公的な健康保険は適用されません現在あるAGA治療は残念ながら最も良くてもレベル4です。基本的にはレベル5、内容によってはレベル6のものもあります。私が提唱する「ハーゲン脱理論」に基づく「筋膜ほどき」も最下位のレベル6、もしくは一般人の見解でしかないので枠外のレベル7といったところでしょうか。

日本国内のガイドライン

日本皮膚科学会が2017年に定めた「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」では国内外で検証された臨床試験や研究結果をもとに、治療効果の推奨度が記されています。

※男性向けのAGA対処法に限定(女性向けFAGAは別)

推奨度A~Dで上位のものほど「効果が強い」というわけではなく、有効性を示す証拠(エビデンス)がより確かである、ということを意味します。科学的根拠がそれなりにあり、推奨度Aに指定されているのはミノキシジル外用、フィナステリドおよびデュタステリドの内服のみとされています。その他のAGA治療は現時点で科学的根拠は乏しく『経験的』治療であるといえるでしょう。

推奨度Aに指定されたAGA治療薬

ミノキシジルの外用

ミノキシジルはもともと高血圧の薬で、強い血管拡張作用を持っており、頭皮の毛細血管の血流を改善することで、発毛を促進する効果があります。ミノキシジルの外用については数々の研究でその発毛効果が実証されています。

また、ミノキシジルの濃度が高い方が効果も強いことが分かっています。海外ではより高濃度のミノキシジルを使用した研究がされていますが、国内の研究では男性で5%ミノキシジルが最高濃度であるため、AGAには5%ミノキシジルの外用がガイドラインでは推奨されています。このため、市販されているものは最高でも濃度5%までです。しかし一部のクリニックでは医師の診察を受けた上でより高濃度のミノキシジル外用薬を処方してもらうことも可能です。私はお勧めしませんが、5%では物足りない方は医師に相談してみるのもいいでしょう。

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ミノキシジル内服(飲み薬)の有用性については十分な臨床試験が実施されておらず日本ではまだAGAに対する治療薬としては取り扱いが慎重です。その効果と危険性が十分に検証されていないという理由で、ガイドラインでは行うべきではないとされていますが、近年では専門医の診察の元に処方してもらえるクリニックも増えてきています。個人的にはより詳しい検証を待った方がいいのではないかと思います。

フィナステリドの内服

フィナステリドはAGAの原因とされるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換するII型 5-α還元酵素に対して阻害する効果があります。

ガイドラインでもフィナステリドの内服を強く推奨しています。

ただ、女性型脱毛症(FAGA)ではフィナステリドの内服は効果がなかったことが実証されており、ガイドラインでも女性は服用すべきではないとされています。

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デュタステリドの内服

デュタステリドもフィナステリドと同様、AGAの原因とされるDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する5-α還元酵素に対して作用しますが、5-α還元酵素のI型とII型両者に対して阻害する効果があります

デュタステリドとフィナステリドの効果を比較する研究もされていますが、これについてはまだまだ検討の余地があると記載されています。デュタステリドは副作用として、性機能障害の報告が比較的ありますので(5〜10%程度)、副作用についても十分理解した上で使用する必要があります。

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以上、推奨度Aに指定されたAGA治療薬は私自身も一定の効果が得られました。人によってはこれらだけで改善された方もいますので、まずは推奨度Aの治療薬を信頼できる病院・クリニックの医師に処方してもらい、試してみることをお勧めします。

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