AGA(男性型脱毛症)が発症すると、毛周期が短くなることが知られていますが、正常な毛周期からAGAの毛周期へは実際にどう変わってしまうのでしょうか?この記事では、ハゲンワシの研究と経験を基に具体的にどのように毛髪の成長に変化が現れるのかを詳しく説明します。
正常なヘアサイクル
個々の毛には寿命があり、一定期間伸び続けると伸びるのを停止し、間もなく抜け落ちてしまいます。同時に、同じ毛孔(毛穴)から新しい毛がその古い毛を押し出すように生えてきて、初めは細く次第に太く成長します。この毛もやがて寿命になると次の毛に生え変わります。
成長期
成長期初期に古い毛幹は脱落し、新しい毛幹に置き換わり伸長します。毛を作り伸ばしている期間を「成長期」といいます。部位や個人差がありますが正常な成長期は2~6年で頭髪全体の約85%~90%が成長期にあります。
退行期
数年間伸び続けた後に寿命が来ると、毛母の細胞分裂が停止して毛を作らない状態になります。毛母を含む毛球は縮んで消失し、毛包だけの状態になりますが、これもどんどん細胞が死んで毛根の下端は膨大部(バルジ)の下まで上昇します。毛乳頭細胞もそれに伴って上昇します。この縮んでいく期間を「退行期」といい、この細胞の退行のことをアポトーシスと呼びます。退行期はだいたい2週間くらいの期間です。
休止期
毛根が縮んで伸びなくなった毛の下端は少し膨らんで、毛包で囲まれるだけの状態ですが、数週くらいはそのまま留まっています。この活動休止期間を「休止期」といい、毛乳頭の接近によりバルジに存在する幹細胞が活性化されます。休止期はだいたい3~4か月くらいの期間です。
続いて、毛乳頭細胞から次の毛根を作る指令因子が出されると、毛包のバルジにある幹細胞が反応して新しい細胞が誘導され、毛芽(二次毛芽)がつくられます。これが毛の発生と同じように発達していくと再び成長期の毛根がつくられ、新しい毛が伸び、古い毛は脱落し、生え変わります。
このような成長期→退行期→休止期→成長期という毛根の変化を正常な「毛周期」といいます。
AGAのヘアサイクル
AGAになると約2~6年ある髪の毛を太く長く伸ばす成長期が短くなってしまいます。
仮に4年のヘアサイクルが2年になると、単純計算で1日あたりの抜け毛の量が倍になり、抜け毛の増加を感じることになります。しかしながら、毛が抜けた毛根から新たに毛が生えてくるので、急激な髪のボリュームの低下はAGAの初期段階としては認められません。
ただ、更にAGAの症状が進行すると、成長期において本来は太くなるべき毛が毛根の委縮により太くならず細い毛のまま、時には産毛のままで太くなることなく一生を終える「毛髪のミニチュア化」を引き起こします。
これにより頭髪ボリュームとしての髪の毛1本の太さが細くなり、髪のボリュームを作れないミニチュア化した産毛のような毛が増えることで、毛の本数自体は変わらないにも関わらず頭頂部や前額部の頭皮が露出する状態が徐々に目立つようになっていきます。また、ミニチュア化した髪が生え変わることにより、抜け毛の中に産毛や細く短い毛が混ざり始めます。
人の一生において、毛の生え変わりであるヘアサイクルは、決して無制限に繰り返されるものではありません。1つの毛根は約40~50回程度の生え変わりを繰り返すといわれています。仮にヘアサイクルを1周するのに2年と見積もったとしても50回転すれば100年程度の期間となり、生え代わりが有限とはいえ人間の寿命内にヘアサイクルが終了することは無いので、本来薄毛に悩むことはありません。
しかしながら、AGAになると成長期が短縮され、人生半ばにして一生分のヘアサイクルを終えてしまう事になるのです。ヘアサイクルを全て終えた毛根からは産毛が生えることも無く、AGAの最終段階では毛が生えなくなり頭皮が露出されます。
広告AGAでヘアサイクルが短縮する原因
では、なぜAGAでは毛周期が短縮されてしまうのでしょうか?
一般的に説明される毛周期の短縮要因
一般的にAGAで毛周期が短縮される要因として説明されるのは、男性ホルモンであるテストステロンが5-αリダクターゼと結合して変換されるDHT(ジヒドロテストステロン)が影響していると言われています。
- 男性ホルモン:テストステロンが分泌される
- テストステロンが頭皮の酵素5αリダクターゼと結合する
- DHT(ジヒドロテストステロン)が生成される
- 毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体とDHTが結合する
- TGF-βが生成される
- TGF-βが毛周期を乱して脱毛を促す
ヘアサイクルを全て終えた毛根からは産毛が生えることも無く、AGAの最終段階では完全に頭皮が露出されます。このような状態になってしまうと、一般的には髪の毛を生やすことは難しいといわれています。
この理論は重要な点を見落としていると私は思います。概ね正しいのですが、最後の⑥TGF-βが毛周期を乱し、抜け毛を誘発するという部分は科学的には証明されておらず、少々強引な仮説なのです。にもかかわらず、多くの文献ではTGF-βが毛周期を乱すということを断言してしまっています。
TGF-βは髭では硬毛化を誘発し濃くなり、頭頂部や前頭部では軟毛化を誘発し薄くなるという全く反対の現象が起こるわけですが、部位によって正反対の現象が起こる理由が不明瞭で、なんだか説明が都合よく作られてしまっているのです。
ハゲンワシが発見した毛周期の短縮要因
「ハーゲン脱理論」は、「ハゲん」「脱毛克服」とかけて私ハゲンワシが作った造語です。私の経験と研究結果を簡単にまとめると、AGAによる毛周期が短縮する原因は以下の通りです。
- 筋膜のねじれに引っ張られて毛根が移動する【薄毛の要因50%】
- 毛孔(毛穴)同士の間隔が広がり、毛の密集度が低くなることで薄毛が目立つようになる
- 具体的に筋膜に引っ張られるのは毛組織の「立毛筋」
- 引っ張られた毛根は毛周期を乱し、軟毛化を引き起こす【薄毛の要因50%】
- 引っ張られた立毛筋がバルジ(毛隆起)と幹細胞を毛包の下部にある毛乳頭細胞まで押し下げることで、半強制的にアポトーシス(退縮)を引き起こし、成長期が短縮される
- 引っ張られた毛乳頭細胞は血流が悪くなり、栄養が届かずに軟毛化を誘発
私は上記の①(密集度の低下)がおおよそ50%の影響、②(軟毛化・抜け毛)が残り50%影響し、AGAの薄毛が進行していくと考えています。ただ時系列的には①が先に起こり、結果として②を引き起こすため、①が毛周期を短縮させる根本原因であると考えています。
①で筋膜に引っ張られた「立毛筋」は隣接するバルジまで根元の毛乳頭細胞まで引き寄せます。通常の毛周期では退縮(アポトーシス)の段階で毛乳頭がバルジまで上がって幹細胞に接近し、次の毛根を作る指令因子が出されますが、AGAによって筋膜がねじれると逆に立毛筋が肝細胞を引き下げることで毛乳頭に近づいてしまうのです。
結果として、接近した毛乳頭とバルジの肝細胞が勘違いして反応してしまい、次の毛根を作る指令因子が通常より早く出されまうことで、毛周期が短縮してしまうと考えられるのです。
私はこの理論に基づいた独自のAGA改善法「筋膜ほどき」によって、①の根本原因にアプローチし、AGA発症前のフサフサの状態に巻き戻すことに成功しました。私の経験上、毛組織のバルジ領域に存在する幹細胞が死んでいない限り、育毛剤・発毛剤を使わなくても毛は太く再生し、復活させることが出来ます。